M-1予選開始まであと3ヶ月。客前ダメ出しストイックライブ、まーぶんの主催ライブに行ってきた(第7回)。
5月15日。第7回まーぶん主催ライブ「どろんこマイクフィフティーンナイトベイビー(以下D.F.B)」に行ってきました。
このライブは、若手漫才師のまーぶんがM-1を勝ち進むべく、切磋琢磨しながら毎月15日に開催しているライブです。
Contents
前回までのD.F.B
前回は別用があったため、2ヶ月ぶりの参加となります。そんな前回から新たに新システムが採用されたとのことで、改めてD.F.Bの仕様についておさらいしておきます。
<第3回まで>
・まーぶんが4本、ゲスト3組が1本ずつネタをする
・ネタ終了後はみんなで楽しくワイワイ企画
<第4回から>
・まーぶんが4本、ゲスト3組が1本ずつネタをする
・まーぶんのネタ終了後、ゲストによるアドバイスコーナー
<第6回(前回)から>
・まーぶんが新ネタ2本と叩き直したネタ2本をやる(ゲストは1本ずつ)
・まーぶんのネタ終了後、ゲストによるアドバイスコーナー
ご覧の通り、回を追うごとにライブの仕様が変わっています。ふたりが毎回ネタやライブと真剣に向き合い、試行錯誤をしている証ですね。
変わったといえば、ラスタ池袋にも変化がありました。コロナ対策としてステージと客席の間に置かれていた透明なシートが無くなっていました。最近になってから来るようになった身としては、なんだか新鮮な感じ。
まーぶんについてゲストが語る
素敵なゲストが参加するのもD.F.Bの魅力のひとつ。さっそく、まーぶんの事務所の先輩・ウェンズデイズさんに彼らの印象を聞いてみました。
ウェンズデイズさんのインタビュー
お客さんの前でダメ出しをもらう強めなライブを毎月やってて、偉いなって思います。
すごく努力してるよね。すぐそこにとものぼがいるのであまり言いたくないですが、いつも頑張ってる姿を見てるので期待したいです。
基本的に褒めたがらないもんな。笑
とものぼは良いヤツっぽく見えるけど、人をバカにする節がありますからね。
(爆笑)
たしかに、今日もイジられてた。
まぁでも飲み会誘えばよく来てくれるし、かわいい後輩ですよ。ぶんたは来ねぇけど。
そう、ぶんた君が全然来ねぇんだよな!こっちは仲良くしたいと思ってるんですけどね。全然歩み寄って来ない。
だってよぶんた!そんなウェンズデイズさんについて、予めまーぶんに印象や思い出を聞いてたので載せておきます。
事務所の尊敬してる先輩漫才師の方々です。事務所内でも特に人柄を漫才にそのままぶつけられてる印象で、それを武器に爆発力が特に魅力的だなぁといつも勉強させていただいております。事務所ライブ打ち上げ後の帰り道に、ひかりさんからたくさんのアドバイスをいただき、是非ともDFBで文太にもお客さんにもそれを聞いてもらいたいと思い、オファーさせていただきました。
ウェンズデイズさんは認識してないと思うのですが、事務所に所属する何年も前のフリーライブの時にご一緒させていただいてました!そのせいかラフィーネの先輩の中でも勝手に親近感が湧いてます。確かその頃はまだ結婚してなかった気がする・・・。
ネタに関しては、2人の関係性や人間性が出ていて面白く、この2人じゃなきゃ出来ない漫才をしていて、本当に尊敬してます!
どういう風にネタを作って、どう考えているのか知りたくてオファーさせていただきました!
アーシングステップさんのインタビュー
続いて話を聞いたのは、仲の良い後輩コンビ・アーシングステップ。こう言うのもあれですが、珍しくぶんたのエピソードが出てきました。
ぶんたさんはイケメンで女性人気もあって、さらにはネタも書いてて。正直悔しいですね。なんか欠点ない?
ぶんたさん、だせぇとこあるよ。
ダサいとこ?
そう。こないだ偶然見かけて、後日それを言ったら「どこで見た?」「誰と居た?」ってめっちゃ問い詰めてきた。
それはダサいというか…遊んでるってことだね。確認したいんだ。
フィクションです!盛るなよ!
あと、去年のM-1で3回戦進出したあたりから、必要以上に絡んでくるようになりました。
おいー!ちゃんとインタビュー受けろよ!
すみません(笑)。前にライブで財布の中身を見る機会があって、ふたりとも空っぽだったんです。小銭も全然入ってなくて。それでも毎日ポエム書いたりネタ作ったり、こうやって新ネタライブやったり。芸人の鏡ですよ、すごいなぁと思います。
今日嫌われに来てる?
そんなアーシングステップさんについて、予め印象や思い出を聞いておきました。
僕らがコンビ結成時から仲良くしてる後輩です。土井垣くんは物怖じせず思ったことを言ってくれる印象で、小松くんは意外とネタに対して熱い印象です。二人がネタについて楽屋で熱く話し合ってるのを何度か見たことがありますが、そこが彼らの評価や結果に繋がってると思います。とにかく大好きな後輩です。
仲良し後輩ですね、土井垣はヘラヘラ舐めくさり地元ヤンキーみたいな感じなんですが、なぜか憎めないやつです。なんでだろう。
小松くんは見た目の通り真面目で礼儀正しい後輩です。土井垣とは大違い。
ネタもめちゃくちゃ面白いです、土井垣が雑パサパサブリーチ短髪で無精髭を生やしてクロックスで会場に来るような見た目の時からネタを見てますが、当時から面白かったし、さらに面白くなってる。M-1も三回戦に行ってますし、本当にすごいと思います。
僕らへのアドバイスも小松くんはめっちゃ真面目にやってくれると思ったし、襟無しグレージャケットモグライダー柴さんに憧れてパーマかけたけど一年経ってもまだ扱い切れてない柴さんからはほど遠い土井垣もズバズバ言ってくれる性格だと知っていたので、是非アドバイスを聞きたいなと思ってオファーしました。
ぶんたと土井垣くんが仲良しということがわかりました。いいね!
大好評!ネタとアドバイスのコーナー
先輩のウェンズデイズさん、仲良し後輩アーシングステップさん、あと諸事情で名前を書けないMNさんの3組をゲストに迎えて、第7回D.F.B開幕です。
ぶんた曰く、今回の新ネタはこれまで以上に早瀬の人間性や性格が題材になるようなネタにしたそうで。
1本目:優柔不断
1本目は、優柔不断な早瀬にフォーカスしたネタ。さっそく早瀬の「人(ニン)」を意識したネタです。
とものぼさんのキャラが、前半は優柔不断の変なやつ、後半は二重人格ってなるじゃないですか。もっと早く二重人格を見せてもいいのかなって思いました。「やばい変なやつ」っていう括りでは一緒すけど、どっちを見せたいのかなぁって少し見づらかったです。
あと、エアロビのところ、長い時間泳がせたけどボケないんすね。
あぁ〜たしかに。もしくはぶんたさんの強いツッコミほしかったです。
そっか〜そうだよなぁ…なるほど
インタビューでは終始先輩を舐めきってたアーシングステップ(主に土井垣君)だったが、本番ではしっかりプロとしてコメントしていた。
まーぶんのネタって、総じて掴みが遅いんですよ。「僕お酒好きなんですよ〜」で始まる会話も、たとえば「僕、お酒好き!」とかね。
そうね、そしたら私が「バカがよ」ってツッコんで。こいつがバカで私が怒る人っていうのが一発でわかるから。そういうのがあってもいいかもね。
そこから僕が「でもさぁ、お酒飲むと次の日体しんどいんだよね」
「じゃあ飲むなよ!」
待って!おれらのネタがウェンズデイズさんに盗られる…
いらねぇよ!
何気ないやり取りから即興で漫才を生み出すウェンズデイズさん。夫婦漫才という感じが伝わってかっこよかった。
ミツハシさんが口にした「掴みが遅い」。これについては僕も思うところがあるので後述します。
2本目:遊園地デート
2本目のネタは遊園地デート。早瀬がぶんたになりきって女の子と変なゲームをするネタです。今回の”叩き直し枠”。ここでアーシングステップ土井垣くんが冴えた提案をする。
導入でゲームのことから入るんじゃなくて、たとえば「相方だから君のことは一番わかってる。女の子になった気持ちで、どういうところが嫌な部分か見て学んだほうがいいよ」とか。
その方が最後の「いや、こんな気持ち悪くねーわ!」に対する振りになるかなって。
その入り、めっちゃいい!
これ僕だけかもしれないですけど、ルールがよくわからなかったです。元を正せば「車→鉄」…あれ、合ってるんじゃないの?って。
言いたいことわかる。ルール合ってるのに不正解にすると分かりづらいかもね。
たしかに「ブブー!」のところでお客さんが「?」の空気になったことあった。不正解じゃなくて「いやいや、鉄は違うでしょ〜」とかにすればいいのか。
私はそこにあんまり違和感はないんだけど、「ブブー!」でウケたいのか振りにするのかどっちかだと思う。「ブブー!」なんて言葉おもしろくないんだから、そこでウケたいんだったら絶対に顔。
早瀬がぶんたになりきるじゃん。一回さ、自分が一番カッコイイと思う顔してみて?
今すか?
(会場爆笑)
ね?一回この爆発を起こさせるの。これは褒めてるんだけど、顔が本当に面白いから。せっかく良いもの持ってるんだから、そこをもっと押した方がいい。
でも、カッコイイを演じちゃうと、ぶんたを本当にカッコイイと思ってることになっちゃいませんか?
なんで?おまえ、ぶんたと同等だと思ってる?
仲良いからわかるんすけど、同等かそれ以上だって本気で思ってます。
ごめん!ほんとごめん!カッコイイよ!
やめてください!
3本目:優柔不断part2
3本目のネタは、1本目同様「優柔不断」がテーマ。ここでウェンズデイズひかりさんから辛めのコメントがあった。
うーん…良いんだけど、台本を書き過ぎてるなって思った。1回、ボケだけ書いて舞台立ってみるのはどう?
早瀬だけしゃべるってことですか?
いや、台本にツッコミを書かずボケだけ書いて、舞台上で思ったことを全部ツッコむの。
えぇ…あぁ、そういう手もあるのか。
たしかに。もったいないっすよね。こういう主催ライブだったらやっていいと思います。
あと、”漫才やりたいんだな”ってのがすごく伝わった。
うわぁ…はずかしいやつだ。
展開が全然無いなって思っちゃったので、例えば最初はファミレスだったら次は牛丼屋に変えてメニューを絞っていくとか。選択肢を少なくして迷いようのない状況が作れたら面白いよね。
一同:おぉ〜
おまえ、そんなのできんの?
ここで比較的おとなしめにしていたアーシングステップ小松くんが動く。
このネタは”う◯ち”がキーっすよね?
思った!一番いらないもん!本筋に関係ないのにう◯ち入れるのは大好きな証拠!
そんなに好きなら散りばめるべきですよ。
汚い話すんなよ!あと全然う◯ち好きじゃないから…
おれが入れました。
さすが早瀬さん。あと、ツッコミで「それカレーが原因じゃないから」じゃなくて「汚ねぇよ」くらいでいいと思います。真面目に「それが原因じゃないから」って言ってて変ですよ。笑
そうなると、最後にオチで「結局う◯ち茶色になっちゃうじゃねぇか、もういいよ」で完璧です。
うれしい。ありがとう!
大丈夫かなぁ…
ライブが終わって感想
※4本目のネタはバンジージャンプのネタだったが、時間が押してアドバイスコーナーの尺があまり取れずに終わってしまったため割愛。
アドバイスコーナーで印象に残ったコメントがある。
「まーぶんは掴みが遅い」
彼らのネタの入りは、ニコニコと穏やかなテンションで会話を始めるパターンが多い。これはこれで魅力なのだが、このライブはあくまでもM-1を勝ち進むためにネタを試すライブのはず。
ここで改めて確認しておきたいのは、M-1予選のネタ尺。
1回戦は「2分」、2回戦・3回戦は「3分」、準々決勝・準決勝・決勝は「4分」だ。
「予選を勝ち進む」という目的であれば、少なくとも2分や3分を意識したネタにしなければならない。
新ネタに関しては、いろいろと試しながらやる部分が多いだろうから言うことはない。ただ、叩き直したネタは「2分」「3分」以内におさめるべきではないか。
取材ということもあって、一応ライブを録音しているの。試しに2本目の「遊園地デート」の時間を測ってみたが「どうも〜!」から「ありがとうございました」までで5分40秒。それは長いぜ!(ちなみに『THE SECOND』の決勝が6分尺)
さらに細かく言うと、「どうも〜!」から設定に入るまで1分30秒かかっている。
この「遊園地デート」のネタは何度かやっているところを見ているので、おそらく勝負にかけるネタのひとつじゃないかと思っている。
何度かやっているネタで、ゲストからアドバイスをもらえる主催ライブ。
であれば、もう少しネタ尺を気にした方が良いんじゃないか、と僕は思いました。
M-1予選開始まで、残り3ヶ月。思ってる以上に時間はない。ここからどんな風に勝負ネタを仕上げていくのか。今後のまーぶんとD.F.Bからも目が離せない。