ギャグの時代

2024.03.29
コラム

主に一発ギャグを芸風とする芸人、ギャガー。

昨今、このギャガーが凄く増えたと感じている。それはTikTokの影響も少なくはないと思うのだ。ショート動画主体のTikTokでは一発ギャグが上手くはまる。プロの芸人からアマチュアの芸人、はては芸人ですらない一般の人までギャグを投稿している人は大勢いる。私もその中の一人ではあるのだが、なかなか視聴回数が稼げないのが現実だ。

今回は、そんな孤高のギャガー・イガラシソウルが「ギャグ」について語る。

イガラシソウル(本名:五十嵐 聡)

1977年7月14日生まれ。長野県佐久市出身/在住。長野県のお笑いナンバーワンを決めるコンテスト『リンゴスターN-1グランプリ』の決勝戦出場をきっかけに36歳でアマチュアから芸人を始める。以降、オフィスバード、オフィス北野、ソニーミュージックアーティスツ、スパンキープロダクションを経て、現在フリーで活動中。主な芸風はギャグとフリップネタ。

<TikTokで毎日ギャグを投稿中>

@igarashi_soul

ギャグの種類

そもそもギャグとは、話や行為の最中に挿入する短い言葉や仕草などで、滑稽なもの、要は馬鹿馬鹿しいものを言う。細かく分類するとギャグには以下のものがある。

ことば

言葉のおもしろさで笑いを生むもの。駄洒落(オヤジギャグも含む)や声色の奇矯さ、モノマネなど。言葉で笑いを取ることは古くからある笑いの基本で、言葉を使わず笑いを生むことは困難だろう。

言葉のギャグで思い浮かぶのは、いや、これはギャグではないかもしれませんが、綾小路きみまろさんという漫談家がいます。この方は言葉で勝負されている芸人さんです。

綾小路きみまろさんが発明したギャグにこんなフレーズがあります。「若いときは綺麗だったのです。そこの笑っている奥様、面影はないですけれど」ひとフレーズでこれだけフリが効いていてオチがある。綾小路きみまろさんが言葉だけを武器にのし上がって来られた理由が分かる気がします。

@igarashi_soul

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所作

動きなどで笑いを生むもの。スラップスティック。ドツキ漫才などで相方を叩くことなど。この動きのギャグは私は一番ギャグらしいと勝手に感じている。

動きのギャグは数あれど、今回は古いものを上げてみましょう。『アジャパー』伴淳三郎さん、『ガチョーン』谷啓さん、『コマネチ』ビートたけしさん。私はこのような視覚的にも滑稽さとしても分かりやすいギャグ、これぞ一発ギャグの原点のような気がしているんです。

これらのギャグは意味がわからないです。ただ、この意味のわからない言葉と動きが合わさるとギャグになってしまうのです。そして、私はこのようなギャグを生み出すことが一番難しいとも感じています。

@igarashi_soul

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キャラクター性

その人のキャラクター性によって笑いを生むもの。衣装や持ち物の意外性、癖(驚くとくしゃみが出る)など。言葉や動きによるギャグと組み合わされることが多い。モノマネ芸では頻繁に見られる。キャラクターというのは笑いを生む上で特に大事だと私は感じていて、大袈裟に言うとキャラクターだけで笑える場合もある。

キャラクターの強い芸人と言われて真っ先に頭に浮かぶのは誇張モノマネで視聴者から笑いをかっさらい、芸人からも一目置かれている、ハリウッドザコシショウさんではないだろうか。誇張モノマネの芸自体はもちろんだが、黒パン一丁というあの出で立ち、そして声の大きさに適当感、この方のキャラクターを上回る芸人は私の中では見つからない。

@igarashi_soul

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掴み

ツカミ、もしくは、つかみと、仮名で表されることも多い。観客や視聴者、現場の共演者などの興味を引くために最初に放つもの。掴みは漫才やピン芸にも凄く重要だと私は感じている。一般的に普通のギャグのものもあれば、ショートコントや自己紹介、挨拶(キャッチフレーズのようなもの)、とにかく一瞬で場の空気を掴むもの。

私が好きな芸人の掴み、漫才で上げますが、ななまがりさんの「僕がななまがりのおもしろい方で」「おい!!!」「こっちが、超おもしろい方です」「ハァ」この掴みはシンプルなようで考え尽くされた掴みだと私は感じています。掴みもどんどん進化していきますね。

効果音や小道具を使用したもの

効果音や音楽などで笑いを生む。また小道具などを利用することもある。今は音楽や効果音、また小道具を使いネタを作り上げる芸人も多い。

音楽で言えば少し古いかもしれませんがヒロシさんの自虐ネタをやる時のあの哀愁のある音楽が印象的ですし、小道具と言えば、私はくまだまさしさんの手作り小道具がおもしろいなと思いますね。

有名なギャガー

このようにギャグには沢山のバリエーションがあるがやはりギャグと言えば瞬発力のあるものが王道だろう。

原西孝幸(FUJIWARA)

この瞬発力を大いに発揮してるギャガーと言えばFUJIWARAの原西孝幸さんではないだろうか。原西さんはギャグを1兆個持っていることでも有名ですが、いくつか上げると、

  • 納得『なるほどな!なるほどなるほどなるほどな!』
  • ティータイム『ハト麦玄米月見草〜そうけんビチャ』
  • そうしたらどうなるの?『背骨を引っこ抜いたら立ってられへん』

何せ1兆個あるので紹介しきれませんが(笑)私は原西さんは現代のギャグシーンにおけるパイオニアのような存在だと思っています。原西さんのギャグは単純明快で馬鹿馬鹿しく何も考えずに笑える。ギャグとは本来、そのようなものではあると思いますが、その基本のような、お手本のようなギャガーが原西さんではないかと私は思っています。

ちゅうえい(流れ星☆)

流れ星のちゅうえいさんも人気のギャガーだ。ちゅうえいさんのギャグと言えば、語尾にちゅうえいと付けるギャグだ。いくつか上げると、

  • 『ポケットからちゅうえい』
  • 『僕は死にまちゅうえい』
  • 『掴もうぜ、ちゅうえい、ドラゴンボール、ちゅうえい』

他にも『オッスおらYahoo!』みたいなギャグも持っているが、語尾にちゅうえいと付けるだけのギャグなのに数え切れないくらいのバリエーションを持っている。このギャグは来るとわかっていても笑ってしまう。また来るのを待ってしまうという魅力もある。

怪奇!YESどんぐりRPG

最近人気のギャガーユニットと言えば怪奇!YESどんぐりRPGの御三方だ。このユニットの繰り出すギャグは現在最も勢いがありかつ新しい。是非動画でご覧ください。

ダンディ坂野

そして忘れてはならないのがゲッツで一世風靡したダンディ坂野さんだ。ゲッツで一世風靡したダンディ坂野さんですが、この方が持っているギャグは無数にある。

  • おひさしブリーフ
  • ごぶさターン
  • ひょうたんから駒田…etc.

私が思うダンディ坂野さんの凄みは、先程の言葉と矛盾するようだが、ゲッツ一本でのし上がったことだ。ギャグで売れた芸人は沢山いるが、ゲッツほどのインパクトを残した芸人はいないのではないだろうか。そしてダンディ坂野さんの魅力は私はあの芸人らしくない実直な人柄だと感じる。元々の本人の資質なのだろうがやはり下積み時代が長かったダンディ坂野さんは私が想像する限り、人間性を磨かれてきたのだと思うのだ。

来たるギャグの時代に備えて

ギャグ、又はギャガーをテーマに進めてきたが、今、ギャグが見直される時代になり沢山のギャガー達がSNSなどが発達したこの時代に生まれている。今後、もっともっとギャグは評価されるだろうし、私自身もギャグをまだまだ突き詰めて行きたいと思う。

もし、よろしければ、私、イガラシソウルがお笑いライブでギャグをやっている時のライブ映像があるのでご覧頂けると嬉しいです。最後までお付き合い、ありがとうございました。何卒、よろしくお願い致します。

この記事を書いた芸人
無所属
イガラシソウル