【ライブレポ】松尾アトム前派出所の単独ライブ 「どてさく5」に行ってきました。

2022.08.10
ライブレポ

はじめまして。出囃子のライタークロコです。
ふだんは、お笑いとは全く関係のない企業で会社員をしています。

バラエティ番組を見る程度の「ふつうの人」だったのに、昨年、見取り図のYouTubeに突然どハマりし、無事「お笑いが好きな人」になりました。
そこから、マユリカのビキニ写真集を買ったり、ニッポンの社長の単独ライブに行ったりしているうちに、ご縁あって『出囃子』でライターをさせていただけることになりました。
ライター未経験で、お笑い好き歴はまだ浅いですが、これからライブレポなどをじゃんじゃん書いていく予定ですので、以後お見知りおきを!

さっそくですが、先日『出囃子-DEBAYASHI-』でお世話になっている松尾アトム前派出所さんが主催するライブ、まんだん60分一本勝負寄席「どてさく5」を観てきました。

松尾アトム前派出所とは?
長野県在住、りんご農家にして漫談家(タイタン所属)。2020年、日本エレキテル連合の中野さんと「交際0日婚」をして世間をざわつかせる。
>>松尾さんのインタビューはこちら!

松尾アトム前派出所の単独ライブ 「どてさく5」

長野県在住の松尾さんが「東京で芸人仲間と忘年会をしたい!でも、飲み会のためだけに上京するのは嫌だ!!なら、仕事をつくってしまえ!!!」という理由で始めたライブだそう。昨年までは阿佐ヶ谷で開催していて、5回目の今回、ついに伝説の演芸場「東洋館」で開催されました。ちなみに、「どてさく5」の”5″は「ファイブ」ではなく「ご」と読みます。「どてさく ご」です。

“あの”浅草東洋館で開催

各線浅草駅からだいたい徒歩10分、浅草寺の近くです。
1951年に開業したストリップ劇場の「浅草フランス座」が大本で、正式には「浅草フランス座演芸場東洋館」というのだそう。
紆余曲折あって、2000年に現在の劇場がオープンし、都内で唯一の「いろもの寄席」として営業しています(いろものとは、漫才、漫談、コント、マジックなど落語以外の芸)。
お隣の「浅草演芸ホール」(こちらでは毎日落語をやっています)とくっついている、不思議な建物です。
渥美清、萩本欽一など名だたるコメディアンたちが若かりし日にここで活躍していたことから、「伝説の演芸場」と呼ばれています。

この東洋館、あのビートたけしの故郷とも言われています。
そう!『浅草キッド』で、柳楽くんがエレベーターボーイをしていた、門脇麦ちゃんが終演後にこっそり歌っていた、あの劇場です!
「浅草キッド、めっちゃいい!!!」となったミーハーなので、本当に狭くて小さいエレベーターに「おぉ、これが…!」と感動してしまいました。

さて、「どてさく5」

狭くて小さいエレベーターで4階まで上がると、サングラスをかけたボディーガード風のおにいさんが検温をしてくれました(写真を撮り忘れた自分を打ちたい)。
ボケは、すでに始まっている…!
東洋館初潜入、漫談初参戦の身としては、全部がドキドキです。
開演前、松尾さんのところへご挨拶に伺うと、奥様である日本エレキテル連合の中野さんの姿が。ここでもまた「おぉ、本物…!」とミーハー丸出しの感想が浮かんできました。

そんなこんなで席に着くと、会場には30代くらいの女性ソロから、おじさま、ご夫婦、タイタンの方たち(松尾さんは芸能事務所タイタンの所属)まで、幅広いお客さんが70人ほど。満席ではないけれど、満遍なく席が埋まっていました。

いよいよ開演

19:30の開演とともに、まずは、まんじゅう大帝国が登場。
まんじゅう大帝国は、学生落語の経験を活かした、落語の掛け合いのような漫才が人気の若手コンビ芸人。松尾さんと同じくタイタン所属で、「どてさく」には毎回「席亭」として出演しています。

席亭とは本来、「寄席を主催する人」という意味で使われる言葉ですが、どてさくでは「前説」となっています(これも松尾さんが雰囲気で決めたそうです)。

松尾さんとの仲の良さが感じられる「松尾さんイジり」をしつつ、ライブや松尾さんの基本情報などをすらっと話に混ぜてくれて、わたしのような一見さんにはとても助かる「席亭」でした。

舞台上の幕は「農作業をしているから、誰よりも脚立に慣れている」という理由で、本日の主役・松尾さん自らが脚立に乗り、汗だくになりながら漫談と同じ60分かけて設営したそう。
「まんじゅう大帝国、なめらかトークで楽しいなぁ」と思っていたのですが、何よりもおふたりが当たり前みたいに靴下だったことが気になってしまいました。
東洋館の舞台、土足禁止なんだな。
ふつうに靴下で出てきて、ふつうに靴下でおもしろい話して、ふつうに靴下ではけていくの、なんだかいいですね。

松尾さん登場!

席亭・まんじゅう大帝国のトークが終わり、会場内にGLIM SPANKYの『ワイルド・サイドを行け』が流れ始めます。
本日の主役・松尾アトム前派出所がついに登場です。

松尾

このライブ、過去に4回やっているけど1回たりとも60分やったことないんです。いつもだいたい45分くらいで終わっちゃう。看板に思いっきり「60分」って書いてあるのに。このライブは、7合目まで登ってなんの後悔もなく下山する登山です。個室ビデオって書いてあるから入ったのに、赤の他人のシアタールームみたいなね。ハンバーグ定食頼んだのに、まさかのハンバーグ無いみたいなね。

と、ここからノンストップで話はあちこちに飛びながら、どんどん、どんどん進んでいきます。
自分の滑舌が悪いという話から、芸人仲間をディスりはじめ、「造語王」と言われるほど造語を多用する話をしていたと思ったら、もしも若大将・加山雄三が「クソ大将・クソ山雄三」だったらと言い出す。

松尾

ぼかぁ、40過ぎてお年玉をもらっているときが、一番幸せだなぁ。ぼかぁ、お年玉を離さないぞー!

一見脈絡がなさそうで、ぶんぶん振り回されるように進んでいくのに、全く不快じゃない。むしろ、心地いい。
漫談には、いろんな人がたくさん登場しました。中には全然知らない人もいたけれど、元の本人を知らないのになぜか想像で笑えてしまう。

松尾

最後は、踊って終わりましょうか。

ということで、フォークダンス「財前直見さんのマイムマイム」「千代の富士の娘、モデル梢のジェンガ」「どてさくのマイムマイム」を松尾さんが1人で踊り、51分の漫談が終わりました。

弓取り式とエンディング

その後、「活劇」のXXCLUB早乙女さんによる「弓取り式」にあっけに取られていたら、出演者の4人が出てきてエンディング。

「好きな食べ物を言って終わろう」というゆるゆるのエンディングで、

まんじゅう大帝国・田中さん:からあげ!
まんじゅう大帝国・竹内さん:ざるそば!
XXCLUB・早乙女さん:お好み焼き!
松尾:(小声で)ここは落とさなきゃ・・・
松尾:(大声で)米の研ぎ汁!!!

終始なごやかな雰囲気の会場でしたが、最後の最後まであたたかい笑いに包まれて終りました。

はじめての漫談を終えて

同行の吉田が「マジカルバナナみたい」と言っていたけれど、「まさに!」でした。
1つの話を出発点に、次々に話題が変わっていく。本当に次々に、あっちにこっちになので「これ、台本どうなってるの?!どこまでが台本で、どこからがアドリブなの?!」と構成が気になりすぎます。

「漫談」ってハードルが高いイメージでしたが、そんなことはありませんでした。
生の漫才やコントともまた違う、どんどん流されていく感覚や、やわらかい、あたたかい雰囲気が新鮮で心地よかったです。
松尾さんは「今回は51分でした!」と言っていたけれど、席亭のまんじゅう大帝国が7分半くらいあったので、松尾さんの漫談はやっぱり今回も45分くらいな気がします…。

松尾さんの密着をしていた番組情報

今回は、長野朝日放送の密着取材が入っていました。
『いいね!信州スゴヂカラ』という毎週土曜日にやっている番組で、『松尾アトム前派出所 前略、土の上より』という春・夏・秋・冬の全4回シリーズだそう。
今回の密着は「夏」で放送はこれからですが、「春」はYouTubeで見られるので、ぜひご覧ください!

この記事を書いた芸人
某出版社
クロコ(元アルバイト)