マイペースな赤瀬と、受け身な堀越。
大学お笑いを経てたどり着いた今のかたち

レインマンズ

所属:グレープカンパニー
結成:2021年
  • 赤瀬 (1997.6.23)
  • 堀越 (1998.6.19)
インタビュー
コンテンツ情報

偶然のエレキコミック、
衝撃の金属バット

――このインタビューでは、レインマンズをはじめて知った方に向けて「芸人になったきっかけ」や「結成秘話」などについて掘り下げていきます。まずは芸人になったきっかけを、堀越さんからお願いします。

堀越: 小学校1年生の頃に『笑いの金メダル』でエレキコミックさんを観てハマったのがきっかけです。あとは小学5年生のときに、たまたまYouTubeでラーメンズさんのネタを観て「なにこれ!?」と衝撃を受けたのを覚えています。

――完全に“お笑い大好き小学生”ですね。

堀越: はい。そこからラーメンズ片桐さんとエレキコミックさんがやっていたラジオの存在を知って、ポッドキャストで夢中になって聴き漁ってました。BAYFMの流れ星さんのラジオを聴くために、友達の誘いも断って、放課後すぐ帰ったりしてましたね。

――なるほど。では次に、赤瀬さんが芸人を目指したきっかけをお聞かせください。

赤瀬: 僕は高3のときに「M-1グランプリ」の3回戦で金属バットさんのネタを見たのがきっかけでした。

――決勝じゃなくて、3回戦?

赤瀬: そうなんです。決勝は興味本位で観る程度だったんですけど、GYAOで予選が観られることを知って、たまたま観たのが3回戦の金属バットさんで。もちろん全く知らないんですけど、にしては面白すぎて、「え?予選ってこんな面白いの?」と一気に引き込まれました。

赤瀬: そこから本格的に動画を漁り始めて、気付いたら高3が終わって浪人してました。

――勉強が手につかないほど夢中になっちゃった。

赤瀬: はい。それで、浪人中もずっとお笑いの動画を観てたら、ナイチンゲールダンスさんの学生時代のネタを見つけて、それがまた面白くて。

赤瀬: そこで初めて「学生芸人」という存在を知ったんです。次第に、「上京したら自分もやってみたいな」と思うようになりました。

――観るだけじゃなくて、「やってみたい」に変わっていったと。

赤瀬: そうですね。広島では舞台に立つ機会はなかったけど、ネタは書いてたので。東京の大学に進学したら、ちゃんと人前でやってみたいなと思ってました。

堀越: え、その時点でネタ書いてたんだ。初めて知った。

大学お笑いの雄・ビデボーイズ

――小学生の頃からお笑いが大好きだった堀越さんと、短期間の大量摂取で笑いに飢えてた赤瀬さん。お二人はどのように出会ったんでしょうか?

堀越: 最初のきっかけは「大学芸会」っていう学生芸人の大会でした。それに出るために相方を探してたら、赤瀬に声をかけらました。

赤瀬: 10人くらい同期がいたんですけど、その中で一番やる気があったのが堀越だったので。

――なるほど、そこで「ビデボーイズ」を組んだと。調べによると、大学2年のときに準優勝したとありますが、これってかなり凄いことですよね?

堀越: すごいことです!もう伝説です。

赤瀬: あんまり自分で言わないよ?でもまぁ、事実としてはそうだったと思います。400組くらいの中から2年生で決勝行くのも珍しかったし、自分たちのことを知ってもらえるきっかけになりました。

――それは伝説。その勢いでプロを目指すようになった感じでしょうか?

堀越: いや、実はそうでもなかったんです。なんとなくプロへの憧れはあったけど、赤瀬に誘われなかったら普通に公務員になってました。就活が始まる大学3年の12月、「あと1週間(赤瀬から)何も言われなかったら、公務員試験の予備校に通おう」と決めてました。

堀越: そしたら、そのタイミングで赤瀬からLINEが来たんです。「プロになる?」って。ちょうど親友と飲んでるときだったので、「赤瀬から誘われた!人生の岐路だ!」ってめちゃくちゃはしゃぎました。

赤瀬: 僕はもう芸人になるつもりだったので、堀越はどう考えてるのか確認したかったんです。「プロになる?」って。

――「一緒にプロになろう」ではなく?

赤瀬: はい。ただの確認でした。

堀越: 僕だけ浮かれてました。でも、連絡を待ってたからすごく嬉しかったんです。それで「二人でならプロになりたい」って返した気がします。

――受け身すぎません?

堀越: そりゃあそうですよ!ネタ書いてないし。自分から誘うのは違うというか、むしろ誘われないと思ってました。

赤瀬: 今だから言えるけど、「絶対に堀越とコンビ組みたい」って思ってたわけじゃないんです。学生お笑いは、いろんな人と組んで「一番良かった人とプロになる」っていう文化がわりと普通にあったので。

堀越: ですね。赤瀬も僕も、それぞれ別でコンビは組んでました。でも僕は「プロになるなら赤瀬と」って決めてました。

――いよいよ二人でプロの道へ。学生時代から結果を残していると事務所からスカウトがある、と聞きますが、お二人もスカウトでグレープに?

堀越: いえ、普通にオーディションを受けて入りました。ただ、学生時代に各事務所のマネージャーさんが審査員を務める大会に出たことがあって、そこで準優勝したんです。そのときにグレープが高い点をつけてくれてたので、印象は悪くないはず…と思って選んだのはあります。

赤瀬: …これ言っていいのかな。実は、その大会で一番高く評価してくれたのはASH&Dさんで、終わった直後に名刺もいただいたんです。その後、しばらくはASH&Dさんに“預かり”的な形でお世話になっていました。

――へぇ〜!そんな経緯が。

堀越: いろんな事情ですぐに所属というわけにはいかなかったのですが、その分オーディションを紹介してくれたり、本当に優しくしてくださいました。「もし他に入りたい事務所があったら、遠慮なく行きなさい」とまで言ってくださったんです。

――囲っておきたいはずなのに…良い事務所ですね。

赤瀬: そうなんです。そういう状況だったし、正直、大学お笑いが“養成所”みたいなものだったので、このままフリーでも良いかなと思ってたんです。でもそこで堀越が「フリーだけは嫌だ!」って駄々こねて。

堀越: あのですね、赤瀬は“何もない状態”への耐性が強すぎるんです!浪人もしてるし大学も辞めてるし。

――あ、大学辞めてたんですね。

赤瀬: はい。2年生ぐらいで定期を投げ捨てました。

堀越: 赤瀬はだらしなかったですから。僕はわりと真面目に過ごしてきた人生だったので、プロとして芸人やるなら絶対どこかに所属したいと思ってました。

――受け身の堀越さんも、さすがに動くぞと。

堀越: はい。それで、グレープも高得点を付けてくれたのでチャレンジしてみたんです。ちなみに、そのときの大会で審査員をしていたのが、今の僕らのマネージャーです。

――おぉ〜。オーディションも一発合格で?

赤瀬: いや、まったく。3〜4回足踏みしましたね。一発で決まったのは、同期だとツンツクツン万博とかダブルグッチーとか。

――大変失礼しました。

堀越: しかも、ビデボーイズとして所属できたと思ったら、3ヶ月後に「名前が…ちょっとよくないかもね。何か言われてもおかしくない要素があるから、ね?」とすごくやんわり改名を促されました。

赤瀬: 大人に優しく言われたら、もう変えるしかないですよね。

――たしかに。ここで今の「レインマンズ」に。

赤瀬: シンプルな名前にしたかったんです。2人とも6月生まれなので“梅雨”から連想したのと、「レインマン」っていう映画が好きだったのと。あとは、事務所の先輩であるサンドウィッチマンさんの“マン”も入ってるし、ちょうどいいなと。

堀越: 前の「ビデボーイズ」の“ズ”を残したい気持ちもあったので、「レインマンズ」にしたらしっくり来ました。字画も良かったし。

ネタ決めは本番直前?
即興が示す信頼感

――いちばん聞きたかった「きっかけと経緯」をお伺いできたので、ここからは雑談ベースで。普段はどんなバイトされてるんですか?

赤瀬: 夜勤の清掃バイトをしてます。

――意外です。堀越さんは?

堀越: 警備員のバイトです。

――それはしっくり。

堀越: なんでですか!まぁいいですけど。赤瀬は夜勤で僕は朝からなので、どっちかが働いてるときはどっちかが寝てる、完全なすれ違い生活なんですよ。

赤瀬: 僕の夜勤明けと堀越の出勤前がちょうど被るので、LINEが動くのはだいたい朝6時。

――朝6時は早すぎ。すれ違いの生活だと、ネタ合わせとか大変じゃないですか?

赤瀬: ネタ合わせ自体ほとんどしてないです。

――えっ

堀越: ひどいんですよ。新ネタライブとかだと、開演してから「はい、今日はこれ」ってネタを渡されるんです。しかもだいぶ未完成で。

赤瀬: ネタを渡す前に堀越は衣装に着替えてて、「何のネタやるつもりで着替えてるんだろう?」っていつも疑問に思ってます。

――堀越さん、これは怒っていい。

堀越: まぁでも、結果的に良いネタになるので…何も言えません。僕はネタを書いてないので、赤瀬のやり方に乗るしかないというのもあります。たぶん、あらかじめ作っても、どうせ直前で変えたくなるんですよ。

赤瀬: それはあります。ギリギリで調整したときの方が良いネタになったりするんで。以前「街をサスケのコースに見立てて紹介するネタ」をやってウケたんですけど、それもほぼ思いつきでした。

全国ツアーと地元のテレビ。
ふたりが見据える、すこし先

――それでは最後に、今後の目標をお聞かせください!

堀越: M-1で結果を残したいです!やっぱりこれが、芸人になった一番の理由なので。あとは、単独ライブで全国を回れる芸人になりたいです。エレキコミックさんみたいに、年に1度の単独をお客さんが楽しみに待ってくれるような、そんな存在になりたいです。

赤瀬: 僕は、いろんな賞レースの決勝にしれっと出ていたいです。高校時代の自分みたいな人が「優勝は〇〇だったけど、俺はレインマンズが一番好きだったな」って思ってくれたら、それが一番嬉しい。

――記録よりも記憶に、いいですね。

赤瀬: あと、最終的には地元・広島の番組に出たいです。そこはずっと目標にしてます。

――僕も地方出身なので、その気持ちすごくわかります。堀越さんは千葉でしたよね?

堀越: はい。チバテレ出たいです。

赤瀬: あ!地元の話で思い出した!どうしても言っておきたいことがあったので1個いいですか?

堀越: なに!こわい、やめて!

赤瀬: この人、今でも実家の近くで髪切ってるんですよ。

堀越: なんだよそれ、いいだろ別に。

赤瀬: 僕、意味わかんなくて。昨日ちょうど、「髪伸びてきたしインタビューもあるから、明日髪切ってきたら?」っていう話をしてたんですよ。そしたら「いや、往復で終わっちゃうから無理」とか言って。

堀越: 往復で2時間かかるんですよ。

赤瀬: だから近場で切れよって。別に髪切ってくれる人と仲良くもないんでしょ?

堀越: いや、仲良いよ!最近仲良くなった。中3から通ってるけど。あと、うちの親父が店主と飲みに行きそうなくらい仲良い。

赤瀬: やっぱり意味わかんない。あーでも言えてスッキリしました。ありがとうございます。

――あ、ありがとうございました。でいいんすかね?

堀越: え、この話でインタビュー終わり!?

【編集後記】

このインタビューから約半年後、レインマンズは『ツギクル芸人グランプリ』の決勝に進出。舞台上では、あのとき話してくれた“即興的なやり方”がそのまま活きているような、顔芸と空気感で笑わせる独特のネタを披露していました。結果は残せなかったけれど、学校や会社で車の顔真似をした人も多いはず(僕はやりました)。今後もいろんな賞レースの決勝にしれっと二人が出るのを楽しみにしてます!

PROFILE

レインマンズ

所属:グレープカンパニー
赤瀬
生年月日:1997.6.23
出身:広島県呉市
所属:グレープカンパニー
堀越
生年月日:1998.6.19
出身:千葉県千葉市
赤瀬
趣味:散歩、エアー散歩
特技:苦手なものも食べられる

堀越
趣味:競馬、ラジオ鑑賞
特技:きれいなスクラムが組める

  • カメラマン
    杉本大希
    1992年生まれ。フリーランスのフォトグラファーとして主にファッション誌の現場で活動。息抜きはサッカー観戦、好きなジョッキーは和田竜二騎手。
  • ライター
    吉田朋哉
    1988年生まれ。青森県八戸市出身。好きな家系は「二代目武道家」の九条ネギラーメンを硬・濃い・多めで。