【新ネタダメ出しストイックライブ】第4回まーぶんの主催ライブの仕様が変わって非常に良かったので伝えたい。

2023.02.21
ライブレポ

2月15日。第4回まーぶん主催ライブ「どろんこマイクフィフティーンナイトベイビー(以下D.F.B)」に行ってきました。

D.F.Bとは、若手漫才師のまーぶんがM-1予選を勝ち進むべく、毎月15日に新ネタを4本おろすライブです。

今回のD.F.B、タイトルにも書いてますが、とても良かった!何がよかったって、新たな取り組みである「ゲストからのアドバイス」がすごくよかったのです。今回はそのことを伝えたいと思います。

普段のコラムでは、冒頭でよく遊び(本文に関係あるのかないのかわからない要素)を入れるのですが、今回は入れません。

なぜかって?きつね日和の松本さん、いや、松本先生が仰っていたからです。「詰め込みすぎると本質が見えなくなる」と。なので、端的に良かった点を伝えていきます!

ここが良かった!DFB

①モデルチェンジ

②ゲストが熱い
③ゲストからのアドバイス

①モデルチェンジ


これまでのDFBは、ネタと企画をやるシンプルなライブでした。しかし今回、大きくモデルチェンジしています。

☆D.F.Bの変更点☆
・企画コーナーの廃止
・ゲストからアドバイスをもらうコーナーの誕生

まずは企画コーナーの廃止。そして、企画でワイワイやらない代わりに、ゲストからのアドバイスコーナーが誕生しました。

<シン・DFBの仕組み>
まーぶんネタ披露

ゲスト2組が客席後方でネタ観覧(ゲストAは楽屋待機)

ゲストAのネタ後、まーぶんとゲスト2組が登壇。アドバイス開始

これを1セットとして、まーぶんが新ネタ4本披露するまで繰り返す構成。

これまでのD.F.Bは、M-1を勝ち進むために新ネタを下ろすライブでありながら、お客さんにもゲストにも楽しんでもらうために企画が用意されていた。ただ、あくまでも大目標は「M-1を勝ち進むこと」だ。

早瀬

お客さん第一、ゲストさん第一という気持ちはもちろんですが、「自分たちも第一」を意識したライブにしたいです。変えるところと変わらないところ、ふたりで模索しながらがんばります!

ぶんた

前回はオープニングMCでの第一声、ライブに挑む数時間前からの思考全てが反省対象です。ライブ後のラジオを聴いてもらえれば伝わると思います。ただ、そこで気付けて良かった。同じ轍は踏まない。なんのための前回だったのか、まーぶんの本気を感じてほしいです!

 
たしかに、前回のD.F.B直後の大大大反省会ラジオでこんなやり取りがあった。
「そもそもM-1を勝ち進むための新ネタライブだよね?」

「だったら、企画いらなくね?」

「でもお客さんに楽しんでもらいたい」

「目的がブレる」

反省と激論と葛藤の末、ネタと企画のシンプルライブだったDFBは、ゲストからのガチダメ出しをもらうストイックライブへと生まれ変わったのだ。


②ゲストが熱い

そう、DFBはゲストが熱い(前回はリニアさんとシマウマフックさん)。
今回のゲストは…バベコンブさん!そして、きつね日和!さらに、まーぶんから絶大な信頼を得ている後輩コンビ!

独特な世界観を持つ事務所の先輩バベコンブさん。まーぶんはどんな印象を持っているのか聞いてみた。

早瀬

初めてネタを見た日から面白すぎて、お声がけするのも緊張するような先輩でした。事務所ライブの企画で同じチームになってから徐々に話す機会が増え、今回勇気を出してオファーを出させていただきました。

ぶんた

ラフィーネには、人を体現して笑いを生み出せる方が本当に多いんです。そんな事務所のトップにいるバベコンブさんは、ラフィーネの先輩を呼ぶ上で絶対に一番最初に呼びたかった方々です。天馬さんは人のお腹をちぎれさせる術を知っている方だし、川副さんは僕が出会った芸人さんの中で1,2位を争うくらい優しい方です。ちなみに僕は、ツッコミに1番必要な要素は優しさだと思ってます。


参照:ラフィーネプロモーション

そんな大尊敬漫才師のバベコンブさんにも、まーぶんの印象を聞いてみた。

川副

ネタ合わせがけっこう激しめなんですよ。お互いに意見を出し合って練習してるのを見ててわかるので、真面目で頼れる後輩です。

天馬

事務所の中でも成長スピードは早いほうかもしんないですね。

だそうです。
尊敬する先輩からこんな風に言ってもらえるなんて、これは本人たち相当嬉しいんじゃないでしょうか。ついでに早瀬とぶんたそれぞれの印象も聞いてみた。

川副

早瀬くんには、台風の日に川を見に行ってほしいです、はい。川がどうなってるのかを確認してきてほしい。そういう印象です。

川副

ぶんたくんは、カッコイイ。

天馬

早瀬は漫才中ボケ回ってるけど、話してみると人柄が伝わってきますよね。本来は真面目なんだなって。バイトの後輩みたいな印象です。

天馬

ぶんたは「カッコイイ」です。

今度は同世代漫才コンビのゲスト・きつね日和について聞いてみた。

きつね日和と言えば、キラーフレーズ「だめだろー!」を武器に、昨年のM-1で3回戦まで進出して大きな爪痕を残した勢いのある若手漫才師。出囃子主催の賞レースにも何度か参加してくれていて、すごく好きなコンビです。


きつね日和とまーぶんは、ユニットライブ『ときせまる』に毎月出演している同世代の仲間だそうで、インタビューでも仲の良さが伝わってきた。

松本

飛び道具(早瀬)の方は、ボケたがりのボケ体質だから、野放しにしてるほうが面白い。

おいなり

私は早瀬くんと波長が合うんですよ。あっちからもイジってくるし。

松本

きつね日和の汚い方とまーぶんの汚い方が仲良いんですよ。

おいなり

ダメだろ?

 
ーーじゃあ松本さんはぶんたと仲が良い?

松本

いやー、早瀬さんの方が仲良いかな(笑)。ぶんたさんは年下だけど芸歴上の先輩なんで、仲良くさせてもらってます。あと、ぶんたさんは良い人。良い人過ぎて僕のことを雑に扱ってこないから…丁寧な関係が続いています。

 
ーー距離が縮まらないってことですね。

松本

ハッキリ言っちゃったよこの人。

おいなり

ダメだろ?



尊敬する先輩、同世代の仲間、信頼のおける後輩という3組を呼んで今回のライブが行われます。

③ゲストからのアドバイス

この取り組み、もともと同世代のユニットライブ『ときせまる』でやっていたそうで。ネタに対して真剣に話し合うので、その部分をお客さんには楽しんでほしいとぶんたから事前に説明があった。

お客さんからのアンケートをライブ後に読み返して反省するのではなく、ネタの直後に同業者から舞台上でダメ出しをもらう。これは非常に見応えがあった。

特に、まーぶんの1本目終わりのアドバイスコーナーが印象的だったので、覚えてる限りで書き記しておきます。

ぶんた

(ネタの最後の部分の)ディベート、正直もっと早めにウケが来ると思ってたんです。早めにツッコんだ方が良かったのかなって。どう思います?

松本

まーぶんさんのことは大好きなので愛情を込めて言いますよ。根本的な話からしますね

松本

さっきの漫才は「お客さんに何を見せたいか」が明確化されてなかったわけです。おふたりが一番やりたかった部分はどこですか?自然にマウントをとっていく早瀬さんの様子なのか、他者を使ってマウントを取り合う様子なのか。

松本

見てる側からすると、しゃべくり漫才で進むと思ったらシステムが始まって、さらに枝分かれして違うシステムが展開して。どれを一番おもしろく見せたいのかわからなかった。

 
こんな感じで、きつね日和の松本さんが有名塾講師さながらのキレッキレな解説を披露していた。先輩のバベコンブさんが「すみません、ぼくたち客席に座って聞いていいですか?」と思わず生徒になってしまうほどだった。

川副

尻上がりに面白くなってたし、練習を重ねればもっと良い漫才になっていくんじゃないかって思いました。

松本

そうなんです、良い漫才なんです。僕も面白いと思いました。ただ、3分とか4分のなかに漫才がいくつか存在していた。だから笑いが分散した。だから思ったより手応えを感じなかった。

松本

僕もよくやりがちなんすけど、『マウント』みたいな良い題材だと、面白い設定やシステムが何個も思い浮かんじゃうんすよね。だけど、それを全部詰め込むとダメになっちゃう。

松本

僕たちができてるかって言われたら別の話ですけど、我慢して削ったほうが面白くなるんですよね。ひとつの漫才にシステムをいれるならひとつだけ。

ほえ〜…完全に先生だ。

松本

なによりおれは人(ニン)が好きなの。早瀬さんの人間性も声も雰囲気も大好きだから。こいつのニンで漫才が見たかった。なのに後半、ニンとは全く関係ない「他人をイジる展開」になってしまった。ガッカリしましたよ。他人をイジってほしくなかった。なぜなら、早瀬さんはイジられて輝く魅力を持つ人間だから。僕からは以上です。

熱血教師!
会場からは自然と拍手が巻き起こった。

1コンテンツ1メッセージ

すごく面白かったし、すごく勉強になった。
アドバイスコーナーでは、ぶんたのネタに対する熱い思いも見えたし、松本先生の話を聞いて何度も「まじで勉強になる」と言っていたのも真剣さが伝わってよかったなぁ。

真剣さと言えば、早瀬が今回から髪にワックスをつけ始めたそうです。今までつけてなかったんかい!と思うかもしれないけど、僕も天パだからわかります。ワックスつけると逆に変な感じなることが多いんですよ。だから僕から早瀬に「天パはパーマかければ良い感じに見えるよ」とアドバイスしておきました。似合うと思うんだよなぁ、ムロツヨシとか大泉洋とか滝藤賢一みたいなパーマ。

参照:ALPHA AGENCY

「詰め込みすぎると伝わらない」というのは、漫才の世界以外でも耳にする。
いわゆる「1コンテンツ1メッセージ」だ。

例えば「カレー 作り方」で検索する人が知りたいのは「カレーの作り方」。カレーを作るためにどんな具材や調味料が必要なのか、どんな手順でつくればいいのかを知りたい。

しかし中には、カレーの作り方以外をだらだらと盛り込んでしまう人がいる。「カレーの作り方」を知りたくて見た記事の冒頭に「そもそもカレーとは?」とかあるやつ。あれはよくないですね。カレーが日本に広まったのは明治初期だとか、カレーのスパイスには食欲増進の効果があるだとか。おそらくその記事を書いた人はカレーが好きで、それを知った上で作ってほしいと思って書いたのだろうけど、違うんだよ。こっちが知りたいのはあくまでもカレーの作り方なんだよ、と。

つまり、あれもこれも詰め込みすぎると本当に大事なところは伝わらないよね、ということ。
天パの話もカレーの話も、本当はいらない。言いたいことを詰め込みすぎると「なにが言いたいんだ」ってなります。そういうことです。

ぶんたは松本さんより年下だけど、芸歴が長いので先輩にあたる。だけどそんなことは彼にとって関係ない。今よりもっと高みに行くためなら、後輩の意見も真摯に聞く。これがぶんたの、そしてまーぶんの成長が早い秘訣かもしれない。

この日のアドバイスを受けて、また激しいネタ合わせがあるのだろう。そうやって何度もぶつかって、どんどん成長していく。来月にはきっとまた違う顔のまーぶんが見れるはずだ。

最後に、ライブ後のふたりに聞いた今日の感想で締めたいと思います。
来月の15日も楽しみですね!
それではまた。


ライブ後、ふたりの感想

早瀬
「松本先生はもちろんのこと、楽屋等でも皆さんからたくさんの意見をいただきました。新ネタライブでこの量の意見を手に入れられたことは本当にありがたいです。どのネタもいろんな可能性を秘めていて、お客様も含めていろんな方の意見でいろんな形に変化していくので、どんどん意見を取り入れて試して、違ったらまた変えて試す。これをこれからも続けて行こうと思います。」

ぶんた
「正直、手応えはものすごくありました。前回の反省を踏まえると言う点でも、ちゃんとクリア出来たと感じています。まーぶんが本気で戦う上で『絶対に成長できるライブだ』と胸を張れるくらい良いライブになったと思います。ただ、ライブ自体の仕組みや構成は常に考え続けます。観に来たお客様の事も考えつつ、さらに頑張っていきますので応援よろしくお願いします!!!」

この記事を書いた芸人
「出囃子-DEBAYASHI-」
出囃子-DEBAYASHI-