【ライブレポ】ラフィーネプロモーションの事務所ライブ『ラフいいね!LIVE vol.18』に行ってきました。

2022.08.10
ライブレポ

走り梅雨

2022年5月28日土曜日。
この日はあいにくの雨予報で、空にはいつ降り出してもおかしくない雨雲が立ち込めている。

梅雨に入りそうで入らない、ぐずついた天気が続くこの時期を「走り梅雨」と呼ぶらしい。梅雨には他にも「送り梅雨」「戻り梅雨」「空梅雨(からつゆ)」などいくつも種類がある、と大学生のお天気お姉さんがテレビで話していた。

「走り梅雨があるんだったら”歩き梅雨”もあるのかな」と調べてみたけど、雨に負けない!梅雨の日を快適にする「歩き方」と「レイングッズ」というページに捕まり、危うくおしゃれなレインコート買わされるところだった。梅雨を楽しむものではなく耐え凌ぐものだと思っているので、レインコートなんておしゃれなものは買いません。

走り梅雨のぐずついた天気の中、駆け足で西新宿を進む。

そう、今日は芸能事務所ラフィーネプロモーションの事務所ライブ『ラフいいね!LIVE』が行われる日だ。

ラフィーネプロモーションの事務所ライブ「ラフいいね!LIVE」

「ラフいいね!LIVE」とは、ラフィーネプロモーションの事務所ライブ。ちなみに社名はライブ名でもある「LAUGH(笑う)+いいね!」から来ているそうです。イイネ!

1stと2ndの2部制で、観客投票によって順位が決まり、その結果次第でメンバーが入れ替わるという仕組みのライブ(毎月最終土曜日に開催)。

2ndはネタ尺2分だが、1stは4分〜5分で、さらに企画にも参加できる。1st出演を目指して勝負をし、バトルライブ独特の緊張感が生まれる。

ラフィーネプロモーションとは?

ラフィーネプロモーションは、2018年5月に設立された芸能事務所だ。有名なところで言うと、「あらびき団」に出演していたふとっちょ☆カウボーイさんが在籍している。

ふとっちょさんもそうだが、なかなかのクセモノ芸人が集まっているイメージ。出囃子の立ち上げ当時からお世話になっている「孝行球児」と「いかすぜジョナサン」もなかなかのクセモノ。みなさん変で素敵だなと思います(褒め言葉です)。

孝行球児(左:得コータロー、右:メイデン古茂田)

いかすぜジョナサン(左:小俣勇二、右:川村優太)

ライブ会場は関交協ハーモニックホール

ライブが行われるのは「関交協ハーモニックホール」。キャパは148人。読み方は関交協(かんこうきょう)。せきこうきょうじゃないよ。K-PROさんがよく使っている会場です。

最寄り駅は新宿なのでアクセス抜群。
・東京メトロ丸の内線「西新宿駅」から徒歩5分
・都営地下鉄大江戸線「新宿西口駅」から徒歩8分
・山手線「新宿駅」から徒歩10分

ライブ前、ネタ合わせする孝行球児と遭遇

会場外の駐車場では、出番を待つ芸人さんたちが壁を向いてネタ合わせをしていた。その中には孝行球児もいた。

孝行球児との出会いは、「堺シュライクス」という独立リーグの球団が2021年に開催した賞レース「MZ-1(モズワン)グランプリ」がきっかけだ。このあたりを書くとかなり脱線してしまうの割愛しますが、興味のある方はこちらを読んでみてください。

今年の開幕戦では始球式や実況中継をやってもらったり、何度かお仕事をして挨拶をする関係ではあるけど、本番前の大事なネタ合わせの時間を邪魔するわけにはいかない。

姿は見えるけど声はかけず、遠巻きに見ながら待つ。校門で憧れの先輩を待つような、そんなソワソワした気持ちを思い出した。

ネタ合わせ終わりを見計らって声をかけてみた。

だーよし

お疲れさまです!お時間ないときにすみません。やっぱりライブ前は緊張感ありますね…

いやいや全然!ぼくらはいつも通り、賑やかしですから。

だーよし

賑やかし(笑)。でも今日ってバトルライブですよね?キングオブコントの予選も近いし、そこに照準合わせたネタをやるんですか?

古茂田

いえ、賞レース用のネタは事務所ライブでは試しません。違うライブで試します。今日は、事務所ライブでしかできないような攻めたネタをやります。

攻めの野球ですよ、攻めの野球。

もはや野球選手とのやりとりだったが、気合の現れだろう。まもなくプレイボール。どんな野球が見られるのか楽しみだ。

ラフいいね!LIVE vol.18 2nd(昼の部)

会場に入ると既に客席が埋まっていた。約150席の半分弱は埋まっていたので、60~70人くらい座っていたと思う。客層は見た感じ20〜50代と幅広く、ひとりで見に来てるお客さんもけっこういた。ぼっち参戦している僕としては、とても見やすい環境だなと思った。会場に流れているBGMもゆるめの洋楽ロックで心地良い。

入場時にもらった投票用紙を眺める。ラフいいね!LIVEは事務所のバトルライブで、「面白かった芸人3組に◯をつける」という投票方法で順位を決める。投票の後、2ndの上位3組と1stの下位3組が入れ替わるシステムだ。
会場は地下なので(楽天モバイルは)電波が繋がらず、用紙に書かれたまだ見ぬ芸人さんたちがどんなネタをやるのか想像する。名前だけだと倉田花火大会さんがとても気になる。

BGMが大きくなり、会場が暗転する。開演時間の15時ちょうど。いよいよライブが始まるぞ。緊張感とワクワクが入り交じる。

MCはいかすぜジョナサン

MCで登場したのは、いかすぜジョナサン。2019年のキングオブコントで準決勝まで進出している実力派で、生粋のコント師だ。

世界観は独特でセンスのあるネタなんだけど、やってることはシンプルにわかりやすくておバカで、そんな彼らのコントが僕は大好き。

コントに定評のあるいかすぜジョナサンだが、MCをやるイメージがない。僕が知っている川村さんと小俣さんは、陰か陽で言えば完全に陰。そして、かなりひねくれてるタイプの陰だ。MCできるのかな、と素人ながら不安になる。拍手のなか登場したジョナサンのふたりは、先手必勝と言わんばかりに得意技で仕掛けた。

川村

ショートコント!縄文時代のマジシャン

奇襲すぎたか、会場の反応はイマイチだったけど、ジョナサン得意のオチが見つからないまま終始わちゃわちゃするネタでした。好き。

川村

おれ、バトルライブが好きなんだよね。1500円で23組出るから、1組80円換算なのよ。でもね、芸人は魂を込めて一生懸命つくったネタをやるわけ。それが80円ってやばくない?めっちゃ安いのよ!めっちゃお得なのよ!今日はこれが言いたかった。

冒頭から熱い話をする川村さんに、会場のお客さんも頷く。たしかにめっちゃお得。

<ライブの注意事項>
・ネタ中以外は撮影OK
・ネタ時間は2分。2分15秒を超えると減点
・面白かった3組に投票(投票が3組でない場合は無効となる)

「思ったより普通のMCでよかった…」と安心していたのも束の間、冒頭の勢いはどこへやら、話す内容を何も決めてなかったジョナサンの二人は、最近買った物について話しはじめた。洗濯機とかタコピー(漫画)の話をしている。

ぬるっとしたまま終わりかけたところでタコピーばりに「やりなおすッピ!」と仕切り直すも、ぬめりが取れずにMC終了。

ラフいいね!LIVE 2ndの流れ

6組がネタを披露

MC登場でフリートーク。その間に観客は採点

次の6組が出てきてネタを披露

こういった流れでライブは進む(全23組だから6組・6組・6組・5組)。

ラフいいね!LIVE 2ndで個人的に好きだった芸人さんとネタ

冒頭で川村さんが言っていたように、芸人の皆さんは魂を込めてネタを作っている。お金を払っているからといって、それを安っぽい言葉で批評するのは違うと思う。なので「面白いか否か」ではなく「好きか否か」で見ていきたい。ラーメンもそうだけど、美味いマズイは人それぞれだから。好きか否かでいいよね、という話。

というわけで、個人的に好きだったネタを備忘録として残していきます。※ここからの写真はYouTube配信のスクリーンショットです。事務所には掲載許可をいただいております。

孝行球児

「コント!胡散臭いスポーツトレーナー」野球部員の元に、監督から選手を見てほしいと頼まれた胡散臭いトレーナーが現れるところからコントがはじまる。ライブ前に「胡散臭いネタやります」と言ってたのはこういうことか。

野球のルールを知ってるくらいで特別野球が好きなわけではない。僕もそのひとりだ。ただ、孝行球児のネタは野球がわからなくても笑えるから好きだ。「細かすぎて伝わらない〜」の感覚。

野球関係なく「こういう人いるよな〜」と思ってしまったら、それはもう孝行球児の思うツボだと思います。言ってることは的外れだし中身全然ないのに雰囲気だけ抜群の人っているよね。そういうことです。

ひぐま岬

初めてのお笑いライブを見に来たお客さんの前に、芸歴20年のピン芸人が現れるところからコントがはじまる。

どんな芸人も努力と苦労を重ねていて、愛すべき部分が必ずある。芸人の表と裏が垣間見えて、とても人間味のある、それでいて厳しい現実も描いているドキュメンタリーなネタでした。はじめてのお笑いライブなのに玄人の楽しみ方をしてしまうお客さん役の方も渋くて好き。

アクシデンタル

消しゴムを拾ったときに使われる「ありがとう」には価値なんて無いんだぞ、というネタ。感謝の気持ちを口に出して伝えることは大事だけど、本当に大事なのは心をこめて言えているか。そんなことを考えさせられるネタでした。

ありがとうの価値について語る武蔵さんがヤバい人にしか見えなかったのも好き。笑顔だけど光のない瞳に闇を感じた。

むかしテレビ

好きなパンのランキングを発表するネタで、ツッコみガン無視でボケの方が終始喋り通すタイプの漫才。これは完全に好みの話だが、僕はブチギレてるタイプのツッコミが好きだ(アンタッチャブルの柴田さんみたいな)。

理不尽なことに対して、最初はそうでもないけど徐々にヒートアップしていって最後の方ずっとブチギレてる感じ。見ていて気持ちがいい。好きなパンの好みは全然違ったけどツッコミは大好きでした。他にも、くしゃみを我慢するたびに鼻の穴が増えていく男だったり、家に帰ったらお父さんがVRをつけてるネタだったり、好きだなーというネタがたくさんありました。

3組に投票する、というルールだったのでこの3組に◯をつけました!

◯ひぐま岬
◯アクシデンタル
◯むかしテレビ

ライブ前に挨拶をしておきながら孝行球児に投票しない、という、忖度ゼロでいかせていただきました。忖度なんてしたら本人たちにも他の芸人さんたちにも失礼です。ということで、ごめんね孝行球児。

あっという間にラフいいね!LIVE 2ndが終了。

会場の外では出待ちのファンと芸人さんが交流をしていた。こうやって出番を終えた出演者がお見送りをしてくれるのか…すごいな。なんだか温かい気持ちになりました。芸人さんと話すの楽しそうだなーとは思いつつ、いざとなると人見知りを発動してうまく話せないので、カメラを向けたらポーズしてくれたまーぶんだけ撮ってそそくさと近くのカフェに逃げ込みました。

ラフいいね!LIVE vol.18 1st(夜の部)

1時間30分ほど時間を置いて、18:00からは「ラフいいね!LIVE vol.18 1st」が始まりました。
1stのMCはバベコンブ。シュールで淡々としている天馬さんのボケと、くどくないシンプルなかわぞえさんのツッコミ。まるでネタのようなMCですごく好きだなと思いました。

ラフいいね!LIVE 1stの流れ

5組がネタを披露

バベコンブ&ゲストのひつじねいり(マセキ芸能社)によるMC

5組ネタ見せ

企画のコーナー

ラフいいね!LIVE 1stで個人的に好きだった芸人さんとネタ

1stにはゲストとしてマセキ芸能社からひつじねいりが参加。失礼ながら初めて拝見しました。スラッとした細身の細田さんが放つ嫌味たっぷりなボケと、ゴテゴテの関西弁おばちゃんのような喋りが特徴的な松村さん。なんだかとても華があるというか色気のある漫才だなと思いました。ひつじねいりさん覚えました!

5組がネタ→MC→5組が〜と流れは一緒だったものの、バベコンブ&ひつじねいりのMCが楽しすぎて、ネタの振り返りが全くできませんでした。唯一書き残した「妊婦からフレディ」。ということで後半戦も備忘録として好きだった芸人さんのネタを書いていきます。

いかすぜジョナサン

おなかが大きく膨らんだ妊婦に陣痛が来るところからコントがはじまる。ラマーズ法のリズムに合わせてどこからともなくQUEENの名曲が流れ始めて…そこからはもうフレディが歌って踊って大暴れ、というネタ。

一言でいうとロックでした。もうね、テレビでは絶対に流せない、コンプライアンス上等夜露死苦なネタでした。ちなみに本家フレディはこんな名言を残しています。

I’ll be the legend which won’t be a star!
(スターじゃない。伝説になるんだ!)

スペースランド流星群

変なおじさんが宇宙を好きになったきっかけについて語るというネタ。「これはいま何を聞かされているんだ?」という時間がしばらく続いて、結局感情が高ぶったときに自分の本心が出るよね?というオチなんだけど、まじで途中「これ出番前に一杯引っ掛けてからネタやってるだろ」と思った。そのくらい酔っ払いのおっさん感が凄かった。良い意味で。後々企画のコーナーでは普通に喋ってたから、やっぱり芸人さんって凄いなと改めて。とても引き込まれました。

バベコンブ

絶対にバズるYouTubeチャンネルを思いついたからやってみたい、というネタ。満島ひかり(ガラパゴスゾウガメに付けた名前)と暮らす男性の日常をお送りする番組、という設定。もう設定聞いただけで好き。どうやって思いつくんだろう。凄いなぁ。このネタは3分じゃなくて10分くらいの尺でずっと見たいと思いました。とにかく笑った。

ちなみに一個前の出番だったスペースランド流星群のネタ(宇宙好きの話)を受けて「新小岩の駅前みたいになってましたね」という掴みから入ったの、会場であんまウケてなかったけど漫才のライブ感があってとても好きでした。

エンディング

今更だけど、僕はあまりお笑いライブに行ったことがない。それこそ、このお笑い事業「出囃子-DEBAYASHI-」を任されるようになってからなので、まだ数えるほどしか現場に行ったことがない。

家ではもちろんお笑い番組を見ている。ただ、横になりながらとか、酒飲みながら見るテレビのお笑いとはやっぱり違う。会場の空気感、緊張感、芸人さんの迫力というか圧というか、そういう生でしか味わえない空気はすごく刺激的だ。日常ではそうそう味わえない。そういう非日常的な体験というのは、その分体力を持っていかれる。慣れてないので。

何が言いたいのかというと、昼から夜にかけて笑いすぎて体力を持っていかれ、夜の部のネタ見せ10連続が終わりで企画のコーナーに入ったときには満足感で少し眠くなっていました。ごめんなさい。芸人さんはもちろんだけど、お笑いライブって見る方も体力が必要なんだ。勉強になりました。

会場を出るとすっかり夜。すこしウトウト呆けながら隣のやよい軒でちゃんぽん食って、「たのしかったなぁ」とおなかも心も満たされて帰りました。

後日、いかすぜジョナサンに会う機会があったので話を聞いてみると「MCちゃんとやらないとだめだよ、って先輩に怒られた」と言っていました。芸の世界は厳しいですね。

おしまい。

  • ライター
    吉田朋哉
    出囃子の管理人、時々ライター。ライターネームはだーよし。
この記事を書いた芸人
「出囃子-DEBAYASHI-」
管理人(運営事務局)