【現場レポ】ふるさと-1グランプリ2022決勝戦

2022.11.07
ライブレポ

近頃、肌寒い日が増えてきました。冬が来ますね。
寒くなってくると恋しくなるのが、お鍋と地元。私の地元・長野では、すでに最低気温が0℃の日もあるようです。八ヶ岳はもう雪化粧だろうか…。こんにちは、出囃子アルバイトライターのクロコです。

さて今回は、日本中が地元に思いを馳せているであろうこの季節に開催された「ふるさと-1グランプリ」決勝の様子をレポート!

ふるさと-1グランプリとは?
「地元ネタNo.1」を決める賞レース。ふるさと愛にあふれていれば、漫才、コント、漫談などジャンルは不問。優勝者には賞金10万円と帰省チケットが贈呈されます。予選には48組が参加し、投票やSNS連動企画などの合計ポイントから決勝には10組が勝ち上がりました。出囃子YouTubeチャンネルでは、予選のネタ動画を全て見ることができます。
>>ふるさと-1の予選動画はこちら!

ふるさと-1グランプリ、はーじまーるよー!

会場は、しもきたドーン。
開演前、松尾アトム前派出所さんから「ネタに、ふるさと率はどれくらいあればいいですか?」と質問が。たしかに、それは気になるところ。
厳密なルールはないものの、面白さはもちろん「ふるさと-1」なのでふるさとをどれくらい盛り込むのかも、今回のポイントになりそうです。

チケットの事前購入数を元に少し余裕を持って客席をセッティングしていたのですが、当日券で見に来てくださる方が予想以上に多く、運営としては嬉しい悲鳴でした。

会場がびっちり埋まったところで「ふるさと-1グランプリ」決勝、スタートです!

前説は、九州男子”のおふたり。
48組が参加した予選では九州勢が4組いたのですが全滅しており、その理由を「副賞の帰省チケットが高くつくからではないか?」と推測していました。
たしかに決勝には都内出身の方もいるけれど、北海道と沖縄も残っていますよ!
真っ赤なTシャツと楽しいトークで、会場を温めてくれました。

そして、B’zの出囃子で登場したのは、本日のMC・ウエストランドのおふたり!
クセのある賞レースのMCをお引き受けくださり、ありがとうございます…!

井口

僕たちは、2人とも岡山出身なんですよ。
B’zの稲葉さんと同じ地元なんですけど、スタッフの方に「出囃子はB’zにしました」って7回くらい言われた。
だからなんだよ!と1回目から言いかけたんですけど、我慢してました。

河本

やっとここで言えたね。出る直前も「B’zです」って言ってた。

 
テレビて見ている通りの、本物のウエストランドさんだ〜!超個人的な話ですが、直前に『マルコポロリ!』(カンテレ)の「ウエストランド井口大好きクラブ」を見ており、大変タイムリーにご本人方にお会いできて、感激でした。

決勝、基本情報

優勝は、得票数で決します。来場者、配信視聴者はおもしろかった3組を選んで投票。審査員は1人=5票分で、1組に投票。

審査員は、構成作家の木村タカヒロさん、出囃子YouTubeチャンネルディレクターのジャンさん、大会実行委員長の松本祥太郎さんです。

ふるさと率を重視するのか、面白さを重視するのか、審査基準は各自に委ねられます。審査員は1人=5票分なので大きいですが、会場と配信で100人近い観客票も侮れない。地方票があったM-1の第1回大会みたいで、ドキドキしますね!

さて、賞レース決勝で気になるのは、出順。ふるさと-1では予選の通過順位をもとに、ドラフト形式を採用しています。ドラフトの結果、本日の出順はこちら!

ふるさとは遠きにありて思うもの

ふるさとネタをさせたら日本で10本の指に入る、10組の決勝ネタを振り返り!

やったーくん(デューズ)

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「三重でお家を建てるなら、アサヒグローバル〜」という歌とともに、真っ暗な会場に電飾を裸体に巻きつけて登場。
この電飾は国内最大級のイルミネーションを誇る「なばなの里」からもらってきた…というところから、三重のディープなスポットをフリップで紹介するネタ。
9月に組んでいたコンビが解散し、ピン芸人になって1ヶ月くらいなのだそう。ネタ後のトークパートでは「緊張しすぎて、セリフもポージングも飛んじゃいました…」と言っていましたが、出順1番にしてしっかり爪痕を残していました。

魔族(ホリプロコム)

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戸越銀座出身のマゾちゃんさん(左)と世田谷出身のサドヤマエスさん(右)ということで、「ふるさと感がない」とウエストランド・井口さんにオープニングからイジられていました。
たしかに「ふるさと感」や「ふるさと率」は高くなかったかもしれない…しかし、それを補って余りある面白さでした!
ご本人たちは「僕らのネタは、好き嫌いが分かれる」と言っていましたが、動きのあるポップなSMネタに会場は盛り上がっていました。
ちなみに、ネタ中のビジュアルがインパクト強すぎて、私服でマスクをしている状態だと誰かわからない-1があれば優勝確実です。

さくらだモンスター(ツインプラネット)

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3組目で、本日はじめての漫才。マイクがセッティングされていないというアクシデントがあったのですが、さっとマイクを見つけて漫才を始めていて、その落ち着きように「漫才協会所属というのは、こういうことか…」と妙に納得してしまいました。
広島県呉市出身のマサキさん(右)が、市長に立候補したいから街頭演説の練習をする、という漫才。
しょっぴーさん(左)が演じる、街頭演説中に現れる呉市民が軒並み変な人なのですが、表情や動きでやばさが際立っていました。
「1番、2番がイロモノすぎて、そこからの漫才はつらい!」と言っていましたが、出順はやっぱり大切なのですね…。
マイクの件、大変申し訳ございませんでした!

きつね日和(ビクターミュージックアーツ)

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松本さん(右)が、おいなり達也さん(左)の地元・北海道について勉強してきた、という漫才。
北海道といえば、美酒佳肴にあふれ風光明媚というイメージなのに、「地元・帯広の思い出」として出てくるのは切ないエピソードばかり…。北海道には良い題材がたくさんあるだろうに、ひたすらに学生時代の切ないエピソードというギャップ。
おふたりとも、ジャケットの襟にキツネのピンを着けていたのがかわいかったです。

しびれグラムサム(タイタン)

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山田さん(左)が日常の中で俳句を思いついたんだけど…という漫才。
がっつり関西弁だったり、悩んでる友人にたこ焼きを勧めたり、終始関西色が強い俳句をなぜか新宿区で思いつきがちな山田さん。思いついた俳句をヨシダさん(右)にツッコまれる度に「季語がないか」と、ずーっと季語を気にしているのだけれど、山田さん、そこじゃないよ!
「可愛がっても、タイタンの若手はすぐ辞めちゃうからなー」というウエストランドさんに、「僕らは辞めないんで、弟ということでお願いします!」と直談判していました。

スレンダーパンダ(ドミトリーム・エンターテインメント)

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木谷さん(左)がじゅんせーさん(右)の地元・青森に行きたいから、おすすめ教えてという漫才。
じゅんせーさんにおすすめを聞くわりには、謎の人物「天上さん」の影響を受けすぎている木谷さん。「天上さん、誰?」と思っていたら「え、やばめの怖い人なの?!」という展開になり、まんまとネタに引き込まれていました。
天上さんの高速移動、笑いました。

松尾アトム前派出所(タイタン)

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「信濃 百姓一首」というフリップネタ。
私は長野出身なので、ネタに出てくる田舎や農家あるあるの情景がくっきり浮かび「そう切り取るのかー!」と笑えました。
一首ごとにココナッツの実を割ったような謎の楽器を「ポン!」と鳴らしていたのですが、ブラジルの出店でサッカーボールを買ったときに付いてきたおまけなのだそう。松尾さん曰く「サッカーボールのバーター」だけれど、良い仕事をしていました。

四天王(フリー)

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2人とも北海道出身ということで、登別温泉をおすすめしたいという漫才。
登別にはすてきな温泉旅館がたくさんあるだろうに、旅館自体も卓也さん(右)扮する女将もクセがすごすぎる…!まず、温泉旅館なのに名前が「スタミナ亭登別店」。
つかみで「なまらおだってる(めちゃくちゃ調子こき)」と言われ、明るくてちょっと抜けてるキャラのジェットさん(左)がボケかと思いきや、ジェット女将がボケ倒していく。とんちんかんな旅館なのに、ちょっと行ってみたくなりました。

村民代表南川(サンミュージック)

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「岩手から東京に出てきて、都会人になった」というネタ。
「東京」「都会人」と聞いて浮かぶイメージを、毎回さらりとかわされて「そっちなのー!」となりました。
地元・岩手と大都会・東京の対比構図なのに、東京のキラキラ感はなく、岩手のおおらかさやダイナミックさを感じたネタでした。
ちなみに、芸名の由来にもなっている出身の村は人口が増えて今は「市」になったそうです。

沖縄ゴリラ(シュープロモーション)

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吉松ゴリラさん(右)としゅうへいさん(左)のユニットコンビ。
しゅうへいさんの地元・沖縄を守るために「やりたい講座」がある、というフリップネタ。
しゅうへいさんが歌うBEGINの『島人ぬ宝』をBGMに、吉松さんが今から救える沖縄の絶滅危惧種を熱血で教えてくれます。イリオモテヤマネコなどはたしかに聞いたことあるぞ、と思っていると後半は珍しいゲンゴロウばかりが出てくる謎展開に。
それまでの熱量の割には、解決方法がシンプルすぎて会場がどっと湧いていました。

最後まで何かあるかわからない、それが「ふるさと-1」

井口

では、結果をね、審査員票から発表します。まずは出囃子YouTubeディレクター・ジャンさん、きつね日和!

(一同)おぉーーー!

井口

そして構成作家・木村さん、きつね日和!

 
(きつね日和)え、ありがとうございます!もう10票?!これは大きい!

井口

最後、大会実行委員長・松本さん、きつね日和!

 
(一同)えーーー!もう優勝するじゃん!審査員の方、話し合ってくださいよ〜

井口

忖度なしで真剣にやってますから。この時点でもう15対0です。

河本

おめでとうございます。


ここから、来場者&配信視聴者票の集計を合わせ、全組の順位が発表されます。

井口

まずは第10位。しびれグラムサム!

 
(松尾)なーにやってんだよ!笑

井口

10位がもう1組います!松尾アトム前派出所!

 
事務所の後輩しびれグラムサムをイジっていたら、まさかのご自身も10位だった松尾さん…。前回の球-1グランプリでは、見事優勝していた松尾さんが10位。これは、波乱の予感です。MCにウエストランドさんをお呼びしましたが、タイタン勢にも忖度が働いていないことがわかりました。

井口

続いて、第8位。さくらだモンスター!

 
(しょっぴー)すごいリアルな順位…。僕、用賀出身なんですけど、同じく世田谷区出身の魔族・サドヤマさんと地元トークで盛り上がったんで、来てよかったです!

井口

第7位、四天王!

 
(四天王)ラッキーセブンということで。でも、一番面白かったと思ってるんで!

予選は1位通過だった四天王が7位。うーん、全然読めない。11月22日には地元・札幌での単独ライブが決まっており、「ふるさとー1優勝を引っさげて凱旋!」と熱量は高かったものの、優勝ならず。11月の札幌に続き、12月には下北沢の北沢タウンホールでも単独ライブがあるそうです!

井口

第6位、魔族!

 
(魔族)お恥ずかしーー!ありがとうございます!!

井口

これでわかりましたね、ふるさと要素も必要です。そこが、ふるさと-1の難しさです。さあ、ここらへんからヒリヒリしてきますね。第5位は、沖縄ゴリラ!

 
(吉松ゴリラ)悔いはないです、最高の大会でした。ありがとうございました!

井口

そんなスポーティーな大会でもないんだよ!第4位、やったーくん!

 
(やったーくん)ウケはゼロでしたけど…地元愛はたっぷりでやりました!

松尾

竹を割ったようにすべってたよ。

井口

最下位がポケットに手を入れてしゃべんな!

 
残ったのは、きつね日和、スレンダーパンダ、村民代表南川の3組。

井口

北海道、青森、岩手と、誰が優勝してもふるさと感があっていいですね。第1回で戸越銀座が優勝しましたなんてことになったら、来年から開催できなくなっちゃう。ではいきましょうか。第3位は…村民代表南川!

 
(村民代表南川)うわー!悔しいな。これからも5万5千人の村民を背負って頑張ります!

井口

いや、村民多いな!さて、最後は優勝を発表します。ふるさと-1グランプリ2022、優勝は…

河本

ダブルヤング!

 
(一同)えーーーーー!

井口

いやいやいや!本当にいきますよ!ふるさと-1グランプリ2022、優勝は……

井口

スレンダーパンダ!!!

 
大逆転で、優勝はスレンダーパンダ!きつね日和とスレンダーパンダの得票数はわずか4票差という、大接戦でした。まさか、こんなに盛り上がる展開になるとは!スレンダーパンダのおふたり、おめでとうございます!

前回の球-1で決勝に残れなかった悔しさから、「ふるさと-1に懸けていた」というスレパン。SNS企画や投票の呼びかけ、当日の集客などできることは全部やって「本気で優勝を取りにいった」とのこと。

「応援してくれる人を増やして、ピンポイントで情報発信するため」に、まずは自分たちのファンのペルソナを設定して、LINE公式も作成したそう。お笑いにもマーケティングが生きるのですね。

ネタも「ふるさとで4分」という特殊な縛りのため新作をつくり、大会4日前に声がかれて「ここ数日、龍角散をアホほど食べてた」というほど追い込んでいたようです。「めちゃめちゃ追い込んでたから、実った!という感じ」と話していたのが印象的でした。有言実行、さすがです!

自他共に「これは優勝か…?!」となっていたところからの、準優勝に終わったきつね日和。ふるさと-1は、恐ろしいところです。大会実行委員長・松本は「ふるさとを一切落とさずに面白い、というのがよかった」とコメントしていました。

次回は「出囃子大賞典」で会いましょう!

きつね日和が審査員票を満票獲得、からの大逆転でスレンダーパンダ優勝!という、ドラマのような展開で幕を閉じた「ふるさと-1グランプリ2022」。ファンの皆様、ウエストランドさん、参加芸人さんのおかげをもちまして、盛況に開催することができました。改めて、感謝申し上げます。

さて、早くも次回の賞レースが決まっております。次回は、年末も押し迫った12月22日(水)。会場は、お笑いの聖地・浅草は東洋館。その名も「出囃子大賞典」!

賞レースを盛り上げていくべく、11月1日からクラウドファンディングも実施中です。魅力的なリターンを多数ご用意していますので、ぜひご検討ください。
>>次回賞レース開催に向けてクラウドファンディング実施中!

また、11月25日(金)はラスタ池袋にて、主催ライブ「幕開け」を開催します。出囃子芸人だけでのライブは、初! きっと、たくさん笑える夜になるはず!ぜひぜひ、足をお運びくださいませ。

この記事を書いた芸人
某出版社
クロコ(元アルバイト)