「ビールと発泡酒の違い」をビール大好き芸人が教えます。

2024.04.19
コラム

どうもこんにちは!餃子とビールは給食でも出してくれ!、こと
芸歴7年目、ビール大好き芸人「くじら8号」のジョージです。

突然ですが「美味しい!と思って飲んでいたビールが実は発泡酒だった」という経験はありませんか?

気になってネットで調べても「結局なんだか違いがよくわからない」とか「まあ美味しけりゃなんでもいいや!」となっている人も多いと思います。

ビールが大好きな僕からすると、「なんてもったいないんだ」の一言につきます。なぜなら、ビールと発泡酒は同じだけど同じじゃないからです。「ミュウとミュウツー」、「docomoとahamo」、「NISAとiDeCo」のように、どちらにも魅力が詰まっています!これらの違いをしっかり説明できる「大人」ってかっこいいですよね。

ということで今回は、初心者でも分かりやすい「ビールと発泡酒の違い」について紹介します。

<自己紹介>
1994年2月生まれ、広島県福山市出身。2017年、お笑いコンビ『くじら8号』としてデビュー。20歳の同窓会で「ビールを無理して飲んだ」自分を恥じ、猛特訓(色々なビールを飲んだ)を経てビールが大好きに。ビール専門店で9年働き、別店舗のクラフトビール専門店で店長も経験。日本ビール検定2級所持。座右の銘は橋本環奈の「二杯目までは休肝日」。

原材料と割合の違い

まずビールと発泡酒の原材料について説明していきます。

ビールと発泡酒の主な原料は、ほぼ一緒

<主な原料>
ビール → 麦芽、ホップ、水
発泡酒 → 麦芽、ホップ、水

「ビールの代替品」として誕生した発泡酒は、広義ではビールのうちの一つなので、原材料自体に大きな違いはありません!

<ビールの用語解説>
▼麦芽(モルト)
麦(大麦、小麦)を発芽させたもの。ビール作りでは焙燥(温風で乾燥と焙煎を同時に行う)させたものが使われる。製造過程でアルコールと炭酸ガスを発生させる、ビール酵母のエサの元となる。ビールの風味や色、味わいを作る上で必要不可欠。

▼ホップ
ビールに苦みや香りを与える植物(ハーブ)。雑菌の繁殖を抑えてビールの保存性を高めたり、泡持ちを良くする効果がある。

ビールと発泡酒の大きな違いは「麦芽の割合」

<麦芽の使用割合>
ビール → 50%以上
発泡酒 → 制限なし

日本で「ビール」として販売されているものは全て麦芽使用割合が50%以上でなくてはならないと酒税法で決められています(酒税法については後述)。

麦芽の量と割合はビールの味わいに直結するので、純粋な味わいに大きく差が出てくるからです。また一般的に知られている発泡酒は、麦芽使用割合が25%未満に抑えられている場合が多いのですが、実は日本の「酒税法」では発泡酒の定義*の中に麦芽の使用割合についての記述はありません。

つまり、ビールと同等の麦芽の使用割合でも「発泡酒」と区分されているビールも存在します。
 *酒税法での発泡酒の定義…麦や麦芽を原料の一部とする発泡性のあるもの

副原料の種類や割合によっても「発泡酒」に分類される

副原料とは、ビールの主な原料とは別に、味の調整や香り付けのために使われる材料のことです。ビールで使える副原料は、その材料と割合が決められています。認められていない原料を使用したり、その割合(4%)を超えてしまうと、他の要件を満たしていても「発泡酒」として区分されます!

<副原料>
ビール → 使える材料に制限があり、使用するときはその割合が5%未満 
発泡酒 → 材料、割合どちらも制限なし

【主な副原料と目的】
▼味わい調整
米、とうもろこし、コーンスターチ、ばれいしょ(ジャガイモ)など

▼香り付け・味付け
コリアンダー、オレンジピール、ゆず、グレープフルーツ、胡椒など

副原料を加えることで、その土地の風土や文化に合ったビールを作ることができます。

例えば高温多湿の日本では、淡いタイプのビールが好まれる場合が多く、副原料で「米、コーンスターチ、ばれいしょ」を使用することによって味わいを調整してすっきりとしたキレのある味わいのビールを作ることができます。

また、コリアンダーやオレンジピールといったスパイスやフルーツを使用することでビールそのものに香りや味を加えることができます。

【余談】新ジャンル(第3のビール)は発泡酒にスピリッツを加えたもの

また、現在は発泡酒として販売されている「新ジャンル(第3のビール)」は、発泡酒にスピリッツという蒸留酒(焼酎やウォッカ)を加えることで作られています。

このスピリッツはアルコール度数を調整する目的で入れられており、通常のビールと同等の度数(4〜6%)に調整することでビールの味に近づけられている場合が多いです。

麦芽を発酵させたソーダと焼酎を割って飲まれる『ホッピー』というお酒がありますが、システム的には新ジャンルのビールと非常によく似ていますね!

酒税法での分類と税率の違い

酒税法とは、簡単に言うとお酒の分類や税金についてまとめられた法律です。ビールと発泡酒の違いについても酒税法で分けられています。

<酒税法での分類>
▼ビール
 「麦芽、ホップ、水」が使われていて、麦芽の使用割合が50%以上、副原料(認められているものに限る)は5%未満

▼発泡酒
原料はビールと変わらないことが多いが、麦芽の使用割合と副原料(認められていないものも使える)の割合の規定がない

中身が「ほぼビール」な「発泡酒」も存在する

ビールと同等の麦芽使用割合でも発泡酒として分類される場合があります!

▼麦芽使用割合が50%以上でも発泡酒のパターン
・指定されていない副原料を使ったもの
・副原料を5%以上使ったもの

海外のビールが日本へ輸入されたときによく発泡酒として売られている場合がありますが、その大半はこの理由です。また、最近は日本国内でのクラフトビールの流行からさまざまな地方の特産食材を原料として使ったり、その量が規定の割合を超している場合があるため、ビールではなく発泡酒として取り扱われていることがあります。

発泡酒は麦芽の使用割合で税率が変わる

実は、発泡酒の全てがビールよりも税率が低いわけではありません!一部の発泡酒に関してはビールと同等の税率が適用されています。

税率におけるビールと発泡酒の違い(2024年4月時点)

▼ビール
63.35円

▼発泡酒(%は麦芽使用割合)
50%以上 → 63.35円
25〜50%未満 → 54.25円
25%未満(新ジャンルを含む)→ 46.99円
※全て350ml換算

【発泡酒として区分されてしまうビール】は、どちらも麦芽使用割合が50%以上の「発泡酒」という分類のためビールと同じ税率になっています。

麦芽使用割合が25〜50%未満の発泡酒は、現在大手ビールメーカーでほとんど販売されていないということもあり、いわゆる一般的な「発泡酒」は麦芽使用割合が25%未満のものを指す場合が多く、新ジャンル(第3のビール)も現在は同じ税率になっています。

価格と味の違い

全国のコンビニで入手できるビールと発泡酒の想定で比較しました!

1本350mlあたりによる価格

ビール → 200円前後
発泡酒 → 150円前後

 
どちらも一般的なビールと発泡酒の比較になりますが、おおよそ50円ほどビールの方が高価な場合がほとんどです。

ビールに比べて、発泡酒は軽くてスッキリ

▼ビール
麦芽由来の甘みとロースト香、ホップ由来の爽快な香りと苦味で、コクがあり厚みのある味わい。穀物系の副原料が使用されていると馴染みのあるすっきりとした味わいに

▼発泡酒
ビールと比べて軽く、すっきりとした味わいのものが多く、季節によっては水のようにごくごく飲めてしまう

こちらも一般的なビールと発泡酒の比較になりますが、ビールにおいては副原料の有無で味わいが大きく変化します。

また発泡酒は第3のビールのようにスピリッツを混ぜる場合があるため、製品によってはビールよりもアルコール風味を強く感じてしまう場合があります。

製造プロセスの違い

使用する麦芽の割合の違いこそありますが、発泡酒は平たく言えば「とても薄いビール」なので、製造においては大きく違う点はほとんどないと言えます。

第3のビールに関して言えば、原材料に「発泡酒、スピリッツ」とあるように、薄いビールに焼酎のような蒸留酒を加えて味を調整しているため、そもそもの発泡酒を作る工程に加えてスピリッツを入れて調整する作業があると考えると、通常のビールや発泡酒より手数が多いと言えるかもしれません。

またこの第3のビールに使われるスピリッツは、ビールの原材料である麦(麦芽や大麦、小麦)を使って製造されている場合が多いのですが、蒸留酒は醸造酒(ビールなど)を蒸留して作られているため、「ビールを蒸留してできた酒に、別で作ったビールを加える」という摩訶不思議な行為が行われている可能性も否定できません!

大手ビール会社のビール愛がひしひしと伝わってきますね!

ビールと発泡酒の違いについての最終結論

▼最終結論
ビールと発泡酒の主な違いは「麦芽の割合」と「副原料」と「価格」だが、中身がビールと変わらない発泡酒も存在していて、製法方法も情熱もどちらも変わらない!

こんなに書いていると早速飲みたくなってきました!この記事を読んで、「ビールか発泡酒か」と名前で選ぶのではなく、それぞれの特徴を踏まえながら「味の違い」や「その時の嗜好」に着目して選んでいってくださると嬉しいですね!どちらも毎月のように新作が出ているので、そちらにも注目してみてください。

え?くじら8号の新作は毎月出てるのかって?
それは、ぜひ劇場で…!

この記事を書いた芸人
無所属
ジョージ(くじら8号)